板のセット位置のお話

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スキーボードに限らずスキーの板には「セット位置」と言うのがあるのをご存じでしょうか?

セット位置とは、板に対してブーツをどの位置で固定するか?と言うもので、これはどんな板、ブーツにも目印がきちんと用意されています。

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上の写真を見て頂くと、板、ブーツそれぞれに線が引かれているのが分かると思います。このブーツ側の線を「ブーツセンター」板の線を「センターマーク」と言い、固定する際の目安にします。

※これらの「ブーツセンター」「センターマーク」はメーカー、モデルによって記載方法は異なります。わからない場合はそれぞれ販売店かメーカにお問い合わせください。

板にブーツを取り付ける際、このセット位置は非常に重要な意味があります。これを間違うと板の性能を発揮できないばかりか、余計に滑りにくくなる場合もあります。


スキーボードの場合、特に固定ビンディングであればこのセット位置は一部のモデルを除いて自由自在です。自分の好みでビンディングの固定位置を調整するだけで簡単に変えられます。また、解放式のモデルの場合でも自己責任にはなりますがチロリアのライトレールモデルなどは簡単に変えることができます。

※解放式ビンディングを調整する場合は原則認定技術者にご依頼ください。使用者自身が調整した場合はどのような場合でもすべてにおいて自己責任となります。

また、取付後に調整が出来ないモデルであっても取り付け時にセット位置の調整を依頼することである程度調整することが出来ます。この時に出てくる言葉が「セットフロント」「セットバック」と言う言葉です。

そもそも、この「センターマーク」とは何なのでしょうか?

センターマークはメーカーが推奨するセット位置で、この位置に合わせてブーツセンターを調整して取り付けると十分板の性能を発揮できますよ!と言う目安として表示されているものです。しかしユーザーそれぞれに好みがあり、ある程度この位置を中心に前後して取り付ける場合も多々あります。

たとえば通常滑走よりもパウダー滑走を重視して使いたいユーザーは「セットバック」を好みます。そしてパークやジブなどで楽しんだり、フェイキーなどを楽しむ方では「セットフロント」を好みます。これらは傾向としてですが、それぞれ意味があってセット位置を変えています。

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「セットバック」はパウダー以外でも、乗っていて前が短く不安定に感じる場合や、後ろが長くて引っかかる感覚があるときなどに効果があります。特にテールが引っかかると曲がりにくくなるパウダーでの滑走ではコントロール性を向上させる意味でもセットバックは有用です。しかしセットバックをすると板の反応性は緩慢になり、クイックでレスポンスの良い操作感は失われていきます

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「セットフロント」はセットバックの逆、よりクイックに板を回す事が多いパークではしばしば採用されます。また後ろ向きでの滑走でもセットフロントは効果があり、どちらかと言えばフリースタイルを好むユーザーにはセットフロントの方が扱いやすく感じると思います。しかし通常滑走では扱いにくさが目立ってしまいがちで、不安定でテールが長く引っかかる感覚を受けてしまう事もあります。

このような一長一短があるセット位置ですので、安易に変えると逆効果になる事もあります。ユーザーの利用環境に応じて調整すべきで、わからない場合はブーツセンターはセンターマークに合わせるのが最もベターなセット位置になると思います。

しかし、その位置では少し乗りにくい?と思うのであれば、調整することで板の性能が激変して楽しくなる事もあります。テールが引っかかる感覚や板が不安定に感じるのであればセットバック、レスポンスやフェイキーを重視するならばセットフロントを行うと乗りやすくなる場合があるでしょう。

実際、セット位置を変える場合は5mmくらいから動かして確かめます。どんなに大きく動かしても3cm程度まで、それ以上は動かしてもデメリットが目立ちすぎてしまうので、避けた方が良いでしょう。たとえ1cmでもその影響は大きいもので、ずいぶん乗り味や板の雰囲気が変わって感じられると思います。そして乗ってみて快適に感じられる位置が見つかれば、それはつまり板がより自分に合う板になったと言っても良いでしょう。

最後に、セット位置は基本的には変える必要がありません。ですが、もし不具合を感じるのであればこういった方法でも調整が出来ますので、一つの情報として知っておくとより自分に合った板探しの手助けになるでしょう。

そしてあまりセット位置を気にせず今まで固定ビンディングで使用していたとすれば、一度見直してみるのも良いと思います。固定ビンディングの場合ブーツセンターが全く合ってない場合が多いので調整して適切な位置にすると、今まで使ってた板が劇的に滑りやすくなるなんてこともあったりしますよ!

 


補足 ドセンターとそのセット位置について

いわゆる「ドセンター」と言うものがあります。これは板の前後に対する中心にセンターマークを設定した板で、フリーライド系の長板や昔のスキーボード(ファンスキー)に多くみられるセット位置です。ここからさらに板の前後のコンストラクションも同じにして作った板は「リアルツインチップ」などのような呼ばれ方をしています。

これらの板の目的はズバリ「フリーライド」であり、パークでの使用を前提に開発されています。こういったモデルでは初めからドセンターを前提に作っているので良いのですが、これらの板ではない通常のモデルでセットフロントを行ってわざわざドセンターにセットするのはあまりお勧めできません。上記のデメリットが目立つばかりではなく、板としての性能が発揮できない非常に使いにくい板になってしまうからです。巷では「ドセンター=ハイパフォーマンス」のようなイメージがありますが全くそれは意味が違う事で、ドセンターの板は少なからず滑走性などを犠牲にしてその位置で設計した結果、普通の板よりもパークでのパフォーマンスが特化されたものになっているのです。

センターセットにした方がパークでのパフォーマンスが有利になるかと思いきや、板の性能が発揮できない板にしてしまっては宝の持ち腐れになります。たとえばGRのForFreeをドセンターにセットしたとしたら、それはそれはテールが引っかかって不安定で大変な板になるでしょう。セット位置を決める際にはドセンターは考えず、少しずつ試しながら決めるのをお勧めします。

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