スキーボードのブーツについて注意したいこと

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いよいよシーズンも近づき、そろそろ道具を考えようかな?と悩んでいる方も多いと思います。

今回のネタは「スキーボード(ファンスキー)のブーツ」についての2016年時点での注意したいことです。

※写真などで紹介したいとも思いましたが、各メーカーの許可などの問題もあるため今回の記事は写真がありません。

ちなみに以前のブーツの話題 <こちら> を先に一読頂けると理解しやすくなると思います。


さて、スキーブーツですが、昨年くらいからかなり進化しています。今までだと「競技者用」「一般用」「フリー向け」くらいだったのですが、昨今は滑りの細分化に伴ってスキーブーツも専用に進化するものも出そろい、非常に多くのブーツが出回るようになりました。

そしてまずご注意頂きたいのが「一般のスキーやスキーボードではそのままでは使えないブーツが多く出回り始めている」という事です。

 

以前の話題でスキボ専用ブーツはほとんど存在しないが、スキボには普通のスキー用のブーツが使えること。さらにフリー向けのブーツはスキーボードに適していると紹介させて頂きました。

なので、店頭に並ぶものであればだいたいOKだったのが今までの事でした。ですが今年あたりからはその常識が変わりつつあります。

それは「マウンテンブーツ」というバックカントリースキーはサイドカントリースキーで用いられる特殊なスキーブーツの登場です。

現在、スキーブーツは以下のようなカテゴリーで大まとめにできます

1「アルペン用スキーブーツ(競技者向け)」

スキー競技で用いられるスキーブーツ。性能を最大限発揮させるために各メーカーの技術と経験が集約されているため非常に高価で、快適性を犠牲にしているので一般で使うにはハードルが高い。さらにスキーボードにはオーバースペック過ぎるため、よほどのことがない限り選ばない方が無難。ただし滑走中の一体感や動きのリニア感などに関して要求する場合は選ぶ価値あり

2「アルペン用スキーブーツ(技術者向け)」

競技者向けアルペンブーツがレース向けなのに対して、こちらはスキー技術を求めるスキーヤー向けのブーツ。競技者向け並みに高価だが、足首の動きや立った時の膝の向きなどを考えて作られているものも多く、スキーボードにはオーバースペックながらこれらのブーツを選ぶユーザーも多い。一般に「上級者向け」と呼ばれているブーツがここに該当する。

3「アルペン用スキーブーツ(コンフォートタイプ)」

一般で最も多くの種類が出回っているスキーブーツで、その特徴はメーカーやモデルによってさまざま。技術者向けのスキーブーツよりもマイルドで快適性を優先しているので、特にこだわらない人には十分な性能を持っている。値段帯が広く最近のものは履きやすく、快適性が高い。ウォークモードなどの付加価値を持つものも多いが、一部の機能に関してはスキーボードでは不適合になるものもある。

4「アルペン用スキーブーツ(初心者向け)」

コンフォートタイプよりも安く、手に入れやすいスキーブーツ。値段なりの部分もあるが初心者にとっては十分な機能を持つ。このタイプはリアエントリーと呼ばれるレンタルブーツなどに見られる形式のブーツも多いが、リアエントリーブーツはややスキーボードには向かない。耐久性に難がある場合もあるので、長く続けるのであればコンフォートタイプを選ぶ方が損をしないこともある。

5「フリー向けスキーブーツ(競技者向け)」

フリースタイルスキーと呼ぶ滑走に適したスキーブーツの中で、スリースタイル競技者向けに作られたもの。他のフリー向けのブーツと差異がないようにも見えるが、ショックアブソーバーなどの付加機能を持っているものもあり、ブーツ自体の構造もアルペン用の競技者向けに近いものになる。フレックスが硬いブーツが多いので、スキーボードで使う場合はかなりの足前でないと使いこなせない場合もある

6「フリー向けスキーブーツ(一般向け)」

フリースタイル用と書かれているものの多くがこのカテゴリーで、アルペン用のコンフォートタイプに近い。足首が使いやすいようにできていたり、可能な限り軽く作られたりとコンフォートタイプに比べてやや本格志向なブーツが多い。スキーボードで使う場合は最も適したブーツで、種類も多い。

7「マウンテンブーツ(本格向け)」

昨年から出始めた新しいブーツで、スキーを履いて山を登り、滑る「バックカントリースキー」用のブーツ。軽量感があり歩きやすく作られているのが特徴で、機能面だけ見ればメリットが多いブーツであるが、このブーツはそのほとんどがスキーボードだけでなく、従来のスキーとも適合しない。購入の際には専用のビンディングが必要になる場合が多い。

8「マウンテンブーツ(ライト向け)」

ゲレンデの未圧雪エリアや手軽なサイドカントリー向けのマウンテンブーツで、いわばマウンテンブーツのコンフォートタイプ。本格向けほどの機能や性能は持たないが、ちょっとした歩行や登坂であればアルペン用よりも楽にこなせる。このタイプもスキボや一般のスキーに適合しないものがあり、購入の際には注意しなければならない。

と、わかりにくいですが大まかに以上の8種類に分類されます。数年前ならスキーショップなどで手軽に手に入るブーツはアルペン用(技術者向け)、アルペン用(コンフォート)、アルペン用(初心者)、フリー向けの4種類くらいでしたが、今年あたりから以上の8種類が手軽に店頭販売されるようになりました。

分かりにくいので表にまとめると

スキー競技 一般のスキー フリースキー スキーボード バックカントリー サイドカントリー
アルペン競技 × × × ×
アルペン技術 △※1 ×
アルペンコンフォート ×
アルペン初心者 × × ○※2 ×
フリー競技 × ○※3
フリー一般 ×
マウンテン本格 × ○※4 ○※4 △※4
マウンテンライト × ○※4 ○※4 △※4
※1 モーグル競技用モデルは◎
※2 リアエントリー(一部モデルを除く)は△
※3 上級者以外は△
※4 ブーツに適合するビンディングを取り付けた場合のみ。

こんな感じです。(表はこの限りではなく、あくまでも目安です。)

そして今回最も問題になるのが「マウンテンブーツ」です。

スキーブーツはソールの部分が皆同じ規格で作られています。なのでどんなブーツであっても大体のビンディングに合うし、履いて滑ることが出来ます。スキボも基本的にはこの企画に準じてビンディングが用意されており、固定式は一部では適合外のものもありますが、ほとんど履けます。解放式はアルペンスキーの規格で作られているので、アルペン用であればほぼ履けます。

「ほぼ」といったのは、ちょっと注意点があるからです。それはジュニア用のブーツです。ジュニア用のブーツは大人用(アダルト)と同じように規格がああって作られていますが、アダルトに比べて薄く作られているのでビンディングも適合するジュニア用のビンディングでないと履けません。自動的に高さを調整してくれるビンディングもありますがそれは一部メーカーの一部のモデルのみで、ジュニアのブーツで大人のスキーを履くと履けますが簡単に外れます。そして逆にアダルトブーツでジュニア規格のビンディングの板を履くと履けますが外れません

スキーボードの場合、解放ビンディング仕様はGR以外のメーカーのものでも多くがアダルト規格のビンディングを用意しているため、ジュニアブーツで履くと危険な場合もあります。GRのWhiteLandもアダルト規格のものになるため、ジュニアブーツでは履くことが出来ません。どうしても履く場合はジュニア用のビンディングに付け替える必要があります。

 

ちょっと話がそれましたが今回の本題「マウンテンブーツ」ですが、これも国際規格によってソールの形が決まっていて作られています。が、これがアルペン用とは全く異なります。具体的にはアルペン用よりも厚みがあるので履けません。無理すれば履けますが履けたとしても外れませんし、ビンディングやブーツを壊します

さらに、一般的なビンディングとは別の金属の爪のようなもので装着させるビンディングに合わせて作られているマウンテンブーツもあるため、マウンテンブーツを使う場合は必ずビンディングも専用のものをセットにして用意しなければなりません。

ただのこマウンテンブーツ。履いてみるとすごくいいんです。軽いしホールド感も良好。ソールがまったいらでなくゴムパーツなどがついていて歩きやすい。パット見た目はアルペン用と違いはないし、知らない人ならうっかり買ってしまう事もあると思います。これが店頭であれば購入の際に店員さんに注意を受けて気づけると思いますが、ネットを介しての購入の場合は使うその時まで気が付かないこともあるかと思います。これが大問題!

スキボの場合を考えてみます。固定ビンディングなら履ける場合がありますが、ソールがゴムのものの場合はしっかりとした装着が出来ないことが考えられます。解放ビンディングの場合は専用のビンディングを取り付ける必要がまずあります。ただ、歩行の簡便さだけで非常に高価なマウンテンブーツ対応のビンディングも買うことを考えるなら、ほかのアルペン用ブーツかフリー向けブーツを選んだ方が良いと思います。

このようにスキーを取り巻く環境が変化し、マテリアルが変化し始めている今、消費者にとってはちょっとわかりにくい状況になっています。安い買い物ではないだけに、購入の際には十分気をつけなければならない問題を、今回紹介しました。

そしてスキボのブーツを買う最大のコツは、やっぱり「店頭で履いて試す」事。その際に「スキーボードで使う」ことを店員さんに話して選べば、めったなことで使えないブーツを選ぶこともなくなると思います。

<補足>

マウンテンブーツの中には、ソールのパーツを交換することでアルペン用のスキーやスキボが履けるようになるモデルも存在します。これらのモデルは適切にパーツを交換することが出来れば専用のビンディングを購入する必要がありません。

また、ビンディングも一部モデルでマウンテン用とアルペン用どちらのブーツも対応できるものが登場しています。もしどちらのブーツも使う可能性がある場合は、こういったビンディングを選ぶとよいかもしれません。

なお、マウンテンブーツの本領は登坂と行動を楽にしてくれる構造と機能です。バックカントリースキーを楽しむ方には待ち望んだブーツだと思いますので、こういったブーツでもスキボが気軽に楽しめないかな?とGRの中の人はちょっと期待できるように考えたいと思います。

スキーボードのブーツ

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スキーボード(ファンスキー)のブーツは、普通のアルペンスキーのブーツが一般的です。過去にはスキーボード(ファンスキー)専用ブーツも存在していましたが、残念ながら現在では「専用」のブーツはほとんどありません。

では、どのようなブーツを選ぶべきでしょうか?

 

スキーボードに適しているブーツは、足首が使いやすく適度な硬さのブーツです。

 

スキーボードはその板を支える為に膝が重要で、膝を使うには足首が使いやすいブーツの方が楽に使えます。従来あったリアエントリーと呼ばれるブーツの後ろ側がガバっと開いて脱ぎ履きするタイプのブーツ、レンタルで良く見かけるあのブーツでは、足首が使いにくくスキーボードには少し向きません。

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写真のように少し膝を曲げた状態が基本的な姿勢になりますが、ブーツの足首が曲げにくいと膝も曲げにくくなります。

これに適したブーツとしてお勧めするのが「フリーライド系」と呼ばれるブーツです。最近では「フリーライド系(もしくはフリースキー系)」と呼ばれるスキーブーツが多く出回るようになりました。これらのブーツはスキーのフリースタイル、パークで飛んだり構造物の上を滑ったり、従来のスキーの枠に当てはまらないスキーを言いますが、そういった意味ではスキーボードは同じくくりとなり、ブーツもフリーライド系のもので十分楽しむ事ができます。

もちろん、従来のスキーブーツでも楽しむことが出来ますが、新しく購入するのであれば「フリーライド系」を試さない手はありません。

 

ちなみに、スキーボードは他にも「スノーボードブーツ」や「テレマークブーツ」でも楽しむことが出来ます。これらはそれぞれ専用のビンディングが必要となり、操作も通常とは異なるので今回は説明を割愛しますが、スキーボードはいろいろなスタイルで楽しむことが出来ます。

 

さて、ではどのように選ぶのか?と言うと、スキーブーツ選びは難しいものです。足に合った物でないと足が痛くなったり滑りにくかったり、かといってどれが自分に合っているか?はわかりにくいものです。

スキーブーツ選びで重要なポイントは3つあります。

  1. 自分の足の実寸の長さ
  2. ブーツの硬さ
  3. 履き心地

まず 1.の自分の足の実寸の長さですが、多くの方がブーツを選ぶ際に、今履いている自分の靴のサイズを参考に選んでいると思います。

が、これが実はマズイのです。スキーブーツは実際の足の実寸を測って選ばなければ、ただただ痛かったりフィット感が良くないブーツを選んでしまいます。多くの場合ブーツを購入する時に店員の方にお願いすると、実寸を測って貰えます。その実寸を参考にブーツを選ぶと、多くの場合は靴のサイズよりも小さいブーツとなると思います。私の場合ですと普段の靴は27cmですが、スキーブーツは25.5cmです。足の実寸が25.2cmですので、これで十分です。

大きいブーツを選んでしまった場合、滑走中に足がブーツの中で動いてしまいます。これは滑りにくいだけでなく、靴擦れのようにこすれて痛める場合もあります。それを防ぐためにしっかり締めると、こんどは締めすぎとなってうっ血して痛かったり、締めすぎる事自体で痛かったりします。

適切な大きさであれば適切な強さでブーツを締められるので、結果痛みが出にくくなります。ブーツの性能も発揮されやすく、滑りやすくなります。

さらに最近のブーツは「ラスト幅」と言うものが示されています。おおむね90~100mmで示されていますが、これは足の一番広い所の幅です。

ラスト幅

この幅も測れば、自分の足に合ったブーツがさらに選びやすくなります。このラスト幅が広いブーツは履き試した感じは広く快適に感じますが、しかしこの幅があまりに余裕があると、上の理由で足が左右に動いてしまい、結果親指の付け根や小指の付け根が痛んでしまうことに繋がるので注意です。

次に 2.のブーツの硬さですが、ブーツは「フレックスインデックス」と言うものでブーツの硬さを示しています。その数字は50~150で、一般のものでは80前後のものが主流となっています。

このフレックスインデックスは単純にフレックスとも言いますが、実はメーカーによってばらばらで決まった数値ではありません。が、目安として利用は出来ます。

フレックスの関係

この図はブーツのフレックスと硬さの関係を示したものです。スキーブーツには大きく「競技モデル」と「コンフォートモデル」があり、同じフレックスインデックスでもその硬さは違ったりします。多くの場合は競技モデルをえらばないのでコンフォートモデルになりますが、コンフォートモデル110だとしても、競技モデルでは硬さとして90くらい、となったりするので一概にフレックスで選べるか?と言うとさらにわかりにくくなります。フリーライド系ブーツの場合は多くがコンフォートモデルなので、130の硬いブーツを選んだとしても、それは競技用の130とは大きく異なる硬さなのです。

では実際どのように選ぶか?それは板を履かずにブーツを履いた状態でブーツをたわまして足首が曲がるかどうかで判断すると良い参考になります。これが全く動かなければ硬すぎ、簡単に動きすぎては柔らかすぎです。ぐっと力を込めて曲がるくらいがちょうどよいフレックスになりますし、もし買い替えで購入する場合は元々のブーツのフレックスを参考にすると良いです。

そして 3の履き心地は最も重要でしょう。いくら足に合っていてフレックスもちょうど良くても、履いて痛ければ意味がありません。一番はためし履きをしてしっかりとブーツを締めた状態で痛みや違和感が感じられない事。そして適度に足全体が締め付けられている事です。特に簡単にかかとが浮いてしまう場合は浮かないブーツを選んだ方が良いでしょう。

そして最近のブーツでも中級以上のものとなると「フォーミング」呼ばれる機能がついています。このフォーミングはインナーブーツ、ブーツの外側の硬い所ではなく内側の柔らかいブーツをインナーブーツと呼びますが、これを自分の足型に合わせて変形させることで足にぴったり合わせられる仕組みです。メーカーやブランドによって異なりますが、ブーツを熱して温めて足の形を取る「熱整形」と呼ばれるインナーであれば非常に高いフィット感を得られます。他にも履き続ける事で徐々に足に合っていくフォーミングインナーもあり、これは各メーカーや店員さんに問い合わせてください。

と、ここで一つ注意があるのですが、もし熱整形インナーのフォーミングをする場合、もし初めからインソールと呼ばれる中敷を交換するつもりがあるのならば、インソールを交換してフォーミングを行った方が良いです。熱整形フォーミングの場合熱を入れられる回数がほとんどの場合2~3回で、それ以上は整形できなくなります。インソールによっては足のあたる部分が変わるため、この点は注意しておきましょう。そして熱整形したブーツは絶対に過度に温めてはいけません。ブーツを履くときに冷えていると寒いし履きにくいのでヒーターなどで温める方も多いと思いますが、暖め過ぎるとそのせっかくのフォーミングが元に戻ってしまうからです。温めたとしても体温程度に留めましょう。

このように選んだとして、もう一つ悩ましい事があります。最近のブーツはいろいろ進化しているため、バックルが4つだったり3つだったり、またはワイヤーだったりと様々です。

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これらはそれぞれ意味がありますが、軽さを重視するのであればバックルが少ない方が有利です。そして特に3バックルモデルでは足首が使いやすいものが多く、足首が細くてフィット感が得られない方には3バックルはおすすめできます。トータルのホールド感では4バックルが最も良いですが、足首を使いたいスキーボードでは4バックルでは硬く感じることもあります。

他に写真を用意できませんでしたが、ワイヤーバックルのモデルはその軽さに特徴があります。最終的には「好み」になりますが、このような特性も把握しておくと選びやすいでしょう。

さらに前傾角やカント調整などこだわるといろいろありますが、まずはこれらの点を押さえておけばきっと良いブーツに出会えると思います。もし良いブーツに出会えればそれだけでスキーは上手になりますし、快適に一日過ごせます。

以上、スキーボードにブーツについてですが、最後に最も重要なポイントを一つ。

必ず、試し履きをして購入しましょう。

ネットで買うと安かったりしますが、結局買い替えるよりもためし履きして買った方がずっと安く抑えられると思います。最終的にネットで買うにしても、一度履いて確認することをお勧めします。