スキーボードの夏チューンナップ

夏も暑いさなかですが、愛板の調子はいかがですか?チューンナップはされてますか?

 

…調子と言っても雪もない今はあまり関係ない?

 

実は、夏ってチューンナップにはとても良い時期なんですよ。

DSC06425_R<夏がチューンナップに向いてる訳 その1>

夏は暑いです。この暑さが実はポイント。スキーの滑走面にしっかりとワックスを浸透させる場合、できるだけゆっくり冷えるようにしてあげるとその分ワックスも浸透してくれます。冬にやる場合は室温を20度程度に温めて行いますが、室温が高い夏ならば特に加温しなくとも浸透を高める事ができます。

そしてよく浸透したワックスは滑っても耐久性があり、板も十分保護されます。良いことづくめですね。

 

<夏がチューンナップに向いてる訳 その2>

上の理由に近いのですが、ワックスを浸透させるもう一つのコツに「板を温める」というのがあります。板が冷たいといくら室温が高くとも浸透しにくくなるのですが、暑い夏は板も十分温められている状態に近いので、特に保護性を期待できる硬いワックスなどを浸透させやすくなります。

硬いワックスは板を長持ちさせるためには大事なワックスなので、少しでも浸透させた方がやはりメリットはあります。

 

<夏がチューンナップに向いている訳 その3>

夏は湿気が高いため、案外この時期に板の錆びが進行してしまうということはよくあります。ですが、逆にこの時期にメンテナンスして錆を落としておくことで、エッジの錆を進行させずに済ませることができます。エッジの錆はいわゆる癌と同じようなもので初期的なら簡単に落とせますが、進行してしまうとエッジ剥がれの原因となる場合もあります。特にノーメンテでシーズンオフしてしまうとかなり錆が進行している場合もあるので、夏の間に落としておくのも必要です。

 

<夏がチューンナップに向いている訳 その4>

夏は十分時間があります。案外冬にチューンナップやメンテナンスを行っても時間が足りないことがあり、不完全なメンテで使うこともままあります。夏なら十分時間があるのでゆっくり丹念にチューンナップやメンテナンスを行う事が出来、万全の仕上がりでシーズンインを迎えることができます。

 

<夏がチューンナップに向いている訳 その5>

自分でチューンもメンテもできない!という方の場合はショップにチューンの依頼をされると思います。その場合、多くのショップは夏は比較的リースナブルな料金で行ってくれます。シーズン中だと注文の多いためチューンに預けても時間がかかることも多く、料金も正規の料金となることがほとんどです。また、スキーボードの場合短いがゆえに受付てくれないショップもあるので、余裕のある夏の方が預けられるショップを探すのにも向いているということもあります。

 

と、このような理由があります。12月にシーズンインと考えてもあと4か月、ゆっくりできる今だからこそのチューンナップも「アリ」だと思います。

 

なお、GR ski lifeでもチューンナップを受け付けています。スキーボードはメーカー、ブランドに限らずお預かりしますし、やや料金は割増となりますが長板のチューンも行います。(スノーボードは申し訳ないのですができません)

そしてこの記事を読んでくれた方にサービス!注文時に「記事を読んだ」とご記入頂いてご注文頂ければ、ベースチューン、リフレッシュチューンの料金からそれぞれ1000円引きにてお受けいたします(チューン割引券との併用はできません、このサービスの適応は平成27年8月31日受付分までです)。

GRのチューンナップについては<<こちら>

 

この夏にしっかりチューンナップして、ぜひ楽しいシーズンインを迎えましょう!

エッジのサビの落とし方の補足

前回、動画でご紹介したスキーボードのエッジのサビの落とし方ですが、何点か補足説明があります。

「手袋について」

スキーのメンテナンスやチューンナップを行う際に手袋は非常に大切なものです。と言うのはスキーのエッジは刃物のごとく良く切れるからです。適切に扱えば簡単に切れることはありませんが、不意に怪我することは良く有るのでそれを防ぐためにも手袋は着用した方が無難です。

選ぶ手袋は何でも構いませんが、出来るだけ手にフィットしていてなじみやすいものが良いでしょう。ホームセンターで売っている作業用の手袋を選ぶと作業しやすいと思います。

「紙やすり(サンドペーパー)について」

紙やすりは見た目は同じようでも実にいろいろな種類があります。このうちスキーのメンテナンスに向くものは#150~#300の空研ぎの紙やすりです。また一般的に紙やすりと言いますが、その紙が布のものもあります。

水研ぎの紙やすりは水を付けて研ぐ用途なのでスキーには向きません。耐水ペーパーとあるものの多くは水研ぎで、値段も少し高いので選ぶ必要はありません。

#○○の数字が小さいほど目は粗くなります。なので目が細かいものが必要であれば大きい数字のものを選べば良いですが、あまりに細かい番手の紙やすりは逆に扱いにくいので注意しましょう。

また、紙やすりはホームセンターだけでなく100均でもあります。どちらでも構いませんが耐久性が必要であればホームセンターのものを選ぶのが良いです。スキー用品としても販売がありますが、スキー用のサンドペーパーはあまり一般のものと変わらないのでわざわざ手に入れる必要も無いでしょう。

紙やすりを小さくいる場合のハサミはなるべく使わないハサミにした方が良いです。紙やすりをハサミで切るとハサミの歯を削ってしまってハサミが切れなくなってしまう事があります。また、手でちぎる場合紙やすりは少しちぎりにくいのでハサミやカッターを使う方が楽だと思います。

「サンドラバーについて」

サンドラバーはシーズン中の大型スポーツ用品店で簡単に手に入ります。

他の用途も考えるとサンドラバーはしっかりしたま四角なものがお勧めです。また、荒目、中目が一つに組み合わさっているものも多いですが荒目はあまり使わないので中目があれば大丈夫です。

サンドラバーは一つあると様々な用途で使えるのでお勧めですが、頻繁に使わないのであれば紙やすりで十分です。他の用具に比べてさほど高いものではありませんが、サビ落とし程度であればどうしても必要と言うものでもありませんので無理して買う必要はありません。

「エッジへのあて方」

エッジにサンドラバーなどを当てる際にNGなのは角度をつけてあててこする事です。エッジの角は非常に重要で、もしも削り落としてしまった場合は素人では簡単に治せるものではなくなる場合もあります。軽い力でエッジの面に水平にあてて優しくこするだけで十分落とせるので注意してください。

「サビを落とした後について」

サビを落とした後は割と錆びやすいので錆び止め剤を塗布するのが良いです。錆び止め剤は出来ればスキー用とあるものが良いですが、もしない場合はしっかりと空布巾で拭っておくか、スプレーワックスを塗っておくのも効果があります。車用などの錆び止め剤はものによっては滑走面や接着を溶かしてしまうものがあるので注意しましょう。スキー用であってもあまり滑走面には良くないものなので、塗布する場合はエッジ以外の部分は塗らないようしましょう。

 

以上、補足説明でした。サビ落としは出来て損のないメンテナンスなので、ぜひできるようにしていただくと大事な板がより長く快適に楽しめると思います。

【スキーボードメンテナンス】スキーボードのエッジのサビの落とし方(動画)

エッジのサビの落とし方です。

このような方法で簡単に落とすことが出来ます。難しい作業ではないので是非参考にしてみて下さい。

尚、サビ落としの細かな補足は次回に行います。

スキー板のエッジとサビについて

メンテを行う上で一番目についてわかりやすい不具合が「サビ」ですね。

スキー板は曲がるために板の周囲に「エッジ」と呼ばれる金属が外周に取り付けられています。これがあるから止まれるし曲がれるのですが、これが非常に錆びやすい!なのでメーカーやモデルによっては錆びに強い「ステンレスエッジ」を採用しているものもありますが、多くは鉄である「スチールエッジ」です。

となると、ステンレスの方が錆びないから良いんじゃいない?って思いませんか?

確かにステンレスであればメンテナンスフリーな板が作れそうです。ですが広く普及していないのには理由があります。ステンレスは鉄よりもコストが高く、メリットが小さいのです。

ステンレスと言えば一般では錆びない高性能な合金の代表みたいなものですが、非常に錆びにくいだけでスキーのエッジに使うには優先的に採用されるほどのメリットがないのです。ステンレスは鉄に比べて硬い金属なので加工しにくく、硬さ故に衝撃で割れるというデメリットを持ちます。鉄は錆びますが加工が容易で安価、衝撃で割れる事も少なくステンレスよりもやや元に戻ろうとする力も強いです。スキーのような衝撃を常に受けるシチュエーションで使うにはちょっとステンレスでは都合が悪そうです。

さらにスキーのエッジは削ってチューンナップします。これも削りにくいステンレスでは非常に作業性が悪く、細かなチューニングも困難になります。スキーの板は上級の方ともなると0~2°の角度で角度をつけたりしますが、ステンレスではこの作業が非常に大変です。

加えてスキーのエッジは滑るとステンレスであろうが鉄であろうがすり減って角が丸まってきます。丸くなったエッジは研がないと曲がれなかったり止まれなかったりしますが、加工が難しいステンレスでは削れにくくこそあれ、一度削れてしまえば再び研いで元に戻すのが大変です。もし包丁を研いだことがある人ならばわかると思いますが、鉄の包丁は研ぎやすく切れ味も鋭く、ステンレスは研ぎにくく切れ味も優れません。(プロの料理人などが包丁にわざわざ鉄製の包丁を使うのもこのような理由です)

このように、ステンレスはスキーのエッジに採用するにはデメリットがあって使いにくいのです。鉄のデメリットは「錆びる」と言うことだけと言ってよく、それならと多く採用されています。

ちなみにGR ski lifeの板はスチールエッジを採用しております。メンテナンスが必要ですが、細かくチューンのできる鉄の方が良いだろうと検討しての採用です。

では、錆びさせないためにはどうしたら良いか。これは水分をできるだけ触れさせないという事につきます。滑った後はタオルなどでしっかりと拭き取って乾かす、これにつきます。最近ではシーズンに入るとスポーツ用品店で塗りやすく加工されているさび止め剤もあります。こういったものを塗っておくのも良い方法だと思います。

それでもサビは出ます。ですが初期のサビは簡単な作業で落とすことが出来るのでそんなに怖いものではありません。怖いのは「錆びたまま」にしておくこと、サビはサビを呼び、もらい錆びと言うサビに触れたエッジをさらに錆びさせます。最悪構造にまでサビが入ると修復は出来ないので、普段は濡れたまま保管をしないようにして、たまにエッジをチェックしてサビがあったら落とす。これだけで十分何年も良い状態を保つことが出来ます。

では、次回はその「サビの落とし方」をお伝えしようと思います。