スキーボード板の各部の名称とその意味について

スキーボードに限らず、スポーツでは多く専門用語が用いられますが、ではその言葉の意味は?と思う方も多いでしょう。カタログやパンフレットを読んでもハテサテ?な単語ばかり。

ですが、理解しておくとそれがどのような板で自分に合うかどうか?が何となく見えるようになってきます。そこで今回は各部の名称を解説してみたいと思います。

板の各部の名称

わかりにくい図で申し訳ないのですが、以上を参考に解説します。

ノーズ・テール

→板の先端、もしくは後端。ノーズはトップとも言う。

キャンバー

→意図的に作られた板全体の反り。板の機敏さや乗り心地に関係します。(別記事にて詳しく解説します)

チップ

→ノーズ、もしくはテールの反りあがり。チップが大きいと深い雪や荒れた雪でも引っかかりにくくなりますが、大きすぎると逆に抵抗になる場合もある

サイドカット(サイドカーブ)

→上面図のようなしゃもじ型の形状の構造がどのようなものか示す。図の場合A-B-C Rx.xmとなっているが、ノーズの幅の最も広い所、センターの最も狭い所、テールの最も広い所が何mmかを示す。GR板(ForFree)の場合113-90-103なのでそれぞれAが113mm、Bが90mm、Cが103mmとなる。Rは次にて説明。

ラディウス

→その板が半径何mの円弧と同じ深さのサイドカーブなのか示す。一般に数字が小さいほどクイックに曲がり、大きいほど緩やかに曲がる性質になる。ForFreeの場合はR9.7mなので半径9.7mくらいの深さの円弧のサイドカーブと言える。スキーボードの場合7~9mが平均的で、一般の長板の15~20m比べてラディウスは小さいのが一般的。ラディウスが大きい板は曲がりにくく、ラディウスが小さい板はまっすぐ滑っていてもキョロキョロと動きやすいデメリットがあるが、板のたわみやすさなども関係するため目安としての数字である。

センターマーク

→メーカーが推奨する位置で、示し方、名称はそれぞれメーカーで異なることが多い。この位置を参考に金具を取り付けたりブーツの位置を合わせると板の本来の性能が発揮されやすくなる。逆にこの位置を参考に好みで位置を変えることで乗り味が変化し、板の性格も変わる。一般的にはブーツ側に示されているブーツセンターに合わせるように調整するのが良い。このセンターマークよりも前にブーツセンターを合わせたセッティングを「セットフロント」、後ろだと「セットバック」と言い、ゲレンデの状況やスタイルにあわせて簡単に調整できる金具も売られている。

<参考:ブーツのブーツセンター表示>

DSC06633_R わかりにくいですが中央部にある線がブーツセンター。これもメーカーによって示し方が変わります。

芯材(コア)

→構造の要となるもので、多くはウッドコアと呼ばれる木製、もしくは化学合成素材(ポリウレタンなど)が用いられる。この芯材によって板の性格は大きく変わり、一般的にはウッドコアの方が優れた性能を発揮することが出来るとされているが、技術革新のために合成素材のものでも十分な性能を発揮するものもある。この芯材によってほとんどその板の性格が決められるため、各社とも心材をどうするかは重要な開発のキーポイントになる。近年ではカーボンを利用したものや、チタンなどの軽量高剛性金属を複合的に用いるものもあり、ここ数年でさらなる進化をすると思われる。スキーボードでは比較的安価で性能を出しやすいポリウレタンコアが主流だが、ウッドコアのものもある。心材は値段にも大きく影響し、値段的にはウッドコアの方が高くなる。

トップシート

→板の表面の事。多くはプラスティック系の素材が用いられる。トップシートの張り方で以下の構造に大きく影響がでる。

構造(サンドイッチ構造:キャップ構造)

→トップシートをどのように張るのかでその構造は大きく「サンドイッチ構造」と「キャップ構造」に分かれる。サンドイッチ構造は芯材をトップシートと滑走面で挟んだ構造で、その横にはサイドウォールと言う素材が張り付けられる。キャップ構造は芯材を丸ごとトップシートで覆って滑走面に張り付ける構造。サンドイッチ構造はコスト的に高くなるがその乗り味や硬さなどを比較的自由に設計できる。キャップ構造は比較的安価に作れ、十分な強度を期待できる。お互いにデメリットもあり、サンドイッチ構造はその強度と重さが、キャップ構造は細かい設計としなやかさがデメリットとなるが、この二つを組み合わせた構造の板も存在している。軽さと強度を求められるスキーボードではキャップ構造が主流だが、ハイパフォーマンスなモデルではサンドイッチ構造のモデルもある。

滑走面(ソール)

→板の裏側の事。滑る為に最も重要なもので、昔は黒一色が多かったが近年グラフィックが入ったカラフルな滑走面も多い。滑走面はポリエチレン系の素材で作られており、その素材によって、またその素材に添加されるものによってその滑走性とメンテナンス性が大きく異なる。多くはエクストリューテッドと呼ばれる滑走面で、更なる滑走性を求めるモデルには高価なシンタードと呼ばれる素材が用いられる。劣化や滑走性維持のためにワックスなどが必要なため、そのまま何もしないで使うのは出来るだけ避けた方が良い。参考→http://grskilife.net/mente/スキーボードクリーニング(リムーバー編)/

エッジ

→板の周囲に貼られた金属のパーツの事。エッジはターンしたり止まったりするために必要なもので、これによっても滑りは大きく変わる。エッジがあると滑りにくいと思われる方も多いと思うがその場合は適切にメンテナンスされていない可能性が多い。特にエッジの短いスキーボードは短いが故にエッジの影響が出やすく、これが原因で滑りにくいと思われている誤解もある。(もちろんGRはそういった部分もサポート致します)

サイドウォール

→サンドイッチ構造の板の横面をふさぐ素材。キャップ構造には構造上必要が無い。これがあるか無いかである程度構造の判断は出来る。