【スキーボードメンテナンス】スキーボードクリーニング(リムーバー編)

スキーボードのクリーニング動画です。

今回はリムーバーを使ったスキーボードのソールのクリーニングを紹介しています。クリーニングワックス編は次回公開いたします。

*これらの紹介は参考としての一つの方法であり、効果などを保障するものではありません。ご自身で行う際には当方は責任を負いませんので一切を自己責任にてお願い致します。

スキーボードのメンテナンスに使う道具

メンテナンスにはいろいろな道具が必要です。私もたくさんの道具を持っていますが、これからメンテナンスを始めるにあたって必要なものを解説したいと思います。

まずなにより必要なのは「場所」です。スキーは外で使うもの。なので家の中で行う場合は工夫が必要です。私の場合現状ですとこのような状態です。

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角材で枠を組んで丸ごとブルーシートで被い、足元はコンパネを敷いています。チューンナップテーブルは洗車用脚立台に合板を乗せただけのものですがこれで十分使えますし、その気になれば持ち運びもできます。

・・・このために部屋が・・・仕事の為だし仕方ない・・・

ちなみに学生時代はベランダでやってたり、廊下でやっていたりしました。

ここまでやるのはかなり大変ですが、必要なのは「ブルーシート」です。

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簡単な作業だけでしたら必要ない場合もありますが、特にワックスまで行うのであれば必要です。なぜかというとワックスの削りカスは細かく、それが床などに飛び散るととてつもなく滑って危険な床になってしまうからです。その滑りたるや住宅用のワックスの比ではありません。

また、畳やじゅうたんだと目に詰まって掃除しても取れなくなります。スキーの板が濡れたまま扱う事もありますし、養生のためにもブルーシートを使う事をお勧めします。(ガレージなどをお持ちの方なら必要ないかもしれませんね)

次に必要なのが「手袋」です。これは手を汚さないばかりか、怪我の予防の為にも必要です。

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最近はホームセンターなどでも簡単に手に入るので、フィッティングの良い薄手のものを選ぶと使いやすいです。スキーのエッジはとても手を切りやすく、特にメンテナンス作業では不意の事で怪我をすることも多いです。予防の為にも使う事をお勧めします。

そして必要なのが「台」です。

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これはスポーツ用品店で売っている簡易台です。本格的な「スキーバイス」があればいう事はありませんがそれは非常に高いので、一般メンテなら簡易台で十分です。かく言う私も使い勝手の良さでバイスよりこちらを使っています。簡易台も適当なものが無ければスチロールブロックや雑誌など、確実に板を置けるものがあればなんでも良いです。

これに一般だと使うだろうものがこちらです

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コルクとスプレーワックスです。板の滑走面の保護と滑走性の向上の為に使う方も多いでしょう。ワクシングアイロンを使う「ホットワックス」が出来る方であればこれらは必要がなくなりますが、そこまで本格的ではなく手軽にと言う意味ではこの二つは必要になります。

コルクは何でも良いのですが、力を入れて使った際にボロボロと崩れないものを選んでください。専用のものは力も入れやすく使いやすいので、事情が無い限りは専用のものを手に入れた方が無難でしょう。

スプレーワックスはこれも様々に種類がありますが「オールラウンド」タイプ(写真だと全雪対応)とあるものを選ぶと良いです。

このスプレーワックスに似たようなもので「リムーバー」というものがあります。

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これは一般のメンテナンスではあまり使いません。間違って買わないようにしましょう(スプレーワックスの中には「リムーバー入り」と書いてあるものもありますが、それならば大丈夫です)。

これらの他に前に紹介したサビ落としの為の道具が必要になると思います。

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サンドラバーと紙やすりです。この写真のサンドラバーは荒目と中目が組み合わさったものでシチュエーションに合わせて使います。紙やすりはおおむね#150~#240のものを用意しておくと良いでしょう。

そして意外と使うのがこちらです。

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ドライバーとウエスです。ドライバーはバインディングの調整で使うのでしっかりした大きさのものがあると良いでしょう。ウエスはつまり手ぬぐいですが、お勧めは日本手ぬぐいです。繊維が残らないのでお勧めですし、手で引き裂いて使う事もできるのであれば良いと思います。

これらを適当なツールボックスに入れておけばどこでもメンテナンスが可能になります。

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以上、初期的にひつようであろうメンテナンス道具でした。

スキーボードに限らすメンテナンスに使う道具は一度に揃えようとすると思った以上にお金がかかります。メンテの内容にあわせて買い足せば無駄がなく、自分に合った道具が選べると思います。本格的なメンテナンスを行うにはこれに加えてまだまだたくさんの道具が必要になりますが、それらは今後の解説にて紹介していこうと思います。

スキーボードのリペア作業

先日ご依頼頂いたスキーボードのリペアを行いました。

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ご依頼主は主にジブ(鉄の手すり状の構造物など雪の上以外を滑るスタイル)で使われている板との事で…かなり…その…すごい状態です。

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エッジもアイテムにあたってかなり大変な状態です。

 

今回この板のリペアをします。(`・ω・´)シャキーン

 

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まずは大きな傷はリペアキャンドルを用いて傷を埋めます。ロウソクを垂らすのとちょっと使い方は違いますよ?

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一番大きな傷も埋めます。この後丁寧に削ります(写真撮り忘れました)

傷が埋まったら次はフラットチェックとフラット出しの作業です。(この一連の作業も写真がありません…)フラット出しは板の滑走面をまっ平らに仕上げる作業で、この作業を行うと滑走感は大きく改善されます。この板の場合両端は中央が盛り下がり、中心部分が大きく盛り上がっている板でした。(両端がコンケーブ、足元がコンベックス)

エッジの高さを整えて盛り上がった滑走面をリペアした箇所も含めて丁寧に削ります。そのあとクリーニングしたのがこちら

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あらかたの傷は治すことが出来ました。見た目に大きな傷は見当たりません。

次にエッジを修正するので養生します。

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せっかくきれいに治した滑走面を傷つけてはいけませんから隙間なく養生します。このテープは専用のものでないと滑走面に糊がついてしまうので要注意です。

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板を立てて固定します。スキーボードは長さや幅がいろいろなので簡易固定台がすごく使いやすいです。

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まず荒目のオイルストーンでエッジの焼けを落とし、そのあと波目ファイルでサイドエッジを削ります。大方削ったらレーシングファイルで丁寧に削ります。

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最後に仕上げで細目のオイルストーンで磨きます。それぞれの作業は角度も大切なので冶具を用いて丁寧に行います。

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サイドエッジが終わったらベースエッジです。これも焼きを落としてからファイルで削ります。ベースエッジは削り過ぎてはいけないので波目ファイルは使いません。

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写真撮り忘れましたが細目のオイルストーンで磨いてから錆び止めを塗布しておきます。

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エッジに輝きが戻ってきました。が・・・

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やはりこれは直せませんでした(´・ω・`)

最後にもう一度フラットをチェック、修正した後にクリーニング作業を行います。(写真を撮り忘れてしまいました)

作業後がこちらです。

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なんとかリペア完了です!元の状態と比べると・・・

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これならお客様も満足して頂けると思います。

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一番大きな傷もなんとかリペアできました!

 

今回の板は私の技術を総動員してなんとか直すことが出来ました。すべて手作業なので時間はかかりますが誠心誠意やらせて頂きますので良かったらご依頼ください。

 

 

 

チューンナップの受付を開始しました。

昨日お伝えしていますが、いろいろと準備が整いましたのでチューンナップの受付を開始いたしました。受け付けは<こちら>から注文可能です。

手作業になるのであまり一度に多くの板をお請けできませんが、良かったらご利用下さい。ちなみに、

・スキーボード専門です。

・スノーボードは道具が足りないので当面はお受けできません

・長板は可能ですがスキーボードより割高になります(1000~1500円程度)

・送り送料はご負担下さい。返送料は1000円です(離島など例外あり)

の点はご了承ください。

 

スキーボード専門のチューンショップっていままでなかったと思います。その大きな一因は需要が少なかったのが原因だと思いますが、その専門としてやらせてもらいます。スキーボードのチューニングは細かい所で一般のスキーと異なる部分もあるので、他のチューンショップでは目の届かないところもしっかりやらせて頂こうと思います。

ちなみに手作業なのは専門の大型作業機を入れる余裕がないのが本音ですが、一本一本しっかり仕上げたいという思いからです。なのでストラクチャー加工やフルエッジリペアは出来ませんが、出来る限りの範囲でやらせて頂きます。(軌道に乗った際にはストーンマシーンやストラクチャーマシーンの導入したいですが)

もちろんGRの板でなくても大歓迎です。GR ski lifeは板の販売ブランドではありますがそれだけでなく、スキーボーダーのスキーライフを支えるブランドでありたいと思っていますので、お気軽にお問い合わせ、ご注文をお願い致します。

エッジのサビの落とし方の補足

前回、動画でご紹介したスキーボードのエッジのサビの落とし方ですが、何点か補足説明があります。

「手袋について」

スキーのメンテナンスやチューンナップを行う際に手袋は非常に大切なものです。と言うのはスキーのエッジは刃物のごとく良く切れるからです。適切に扱えば簡単に切れることはありませんが、不意に怪我することは良く有るのでそれを防ぐためにも手袋は着用した方が無難です。

選ぶ手袋は何でも構いませんが、出来るだけ手にフィットしていてなじみやすいものが良いでしょう。ホームセンターで売っている作業用の手袋を選ぶと作業しやすいと思います。

「紙やすり(サンドペーパー)について」

紙やすりは見た目は同じようでも実にいろいろな種類があります。このうちスキーのメンテナンスに向くものは#150~#300の空研ぎの紙やすりです。また一般的に紙やすりと言いますが、その紙が布のものもあります。

水研ぎの紙やすりは水を付けて研ぐ用途なのでスキーには向きません。耐水ペーパーとあるものの多くは水研ぎで、値段も少し高いので選ぶ必要はありません。

#○○の数字が小さいほど目は粗くなります。なので目が細かいものが必要であれば大きい数字のものを選べば良いですが、あまりに細かい番手の紙やすりは逆に扱いにくいので注意しましょう。

また、紙やすりはホームセンターだけでなく100均でもあります。どちらでも構いませんが耐久性が必要であればホームセンターのものを選ぶのが良いです。スキー用品としても販売がありますが、スキー用のサンドペーパーはあまり一般のものと変わらないのでわざわざ手に入れる必要も無いでしょう。

紙やすりを小さくいる場合のハサミはなるべく使わないハサミにした方が良いです。紙やすりをハサミで切るとハサミの歯を削ってしまってハサミが切れなくなってしまう事があります。また、手でちぎる場合紙やすりは少しちぎりにくいのでハサミやカッターを使う方が楽だと思います。

「サンドラバーについて」

サンドラバーはシーズン中の大型スポーツ用品店で簡単に手に入ります。

他の用途も考えるとサンドラバーはしっかりしたま四角なものがお勧めです。また、荒目、中目が一つに組み合わさっているものも多いですが荒目はあまり使わないので中目があれば大丈夫です。

サンドラバーは一つあると様々な用途で使えるのでお勧めですが、頻繁に使わないのであれば紙やすりで十分です。他の用具に比べてさほど高いものではありませんが、サビ落とし程度であればどうしても必要と言うものでもありませんので無理して買う必要はありません。

「エッジへのあて方」

エッジにサンドラバーなどを当てる際にNGなのは角度をつけてあててこする事です。エッジの角は非常に重要で、もしも削り落としてしまった場合は素人では簡単に治せるものではなくなる場合もあります。軽い力でエッジの面に水平にあてて優しくこするだけで十分落とせるので注意してください。

「サビを落とした後について」

サビを落とした後は割と錆びやすいので錆び止め剤を塗布するのが良いです。錆び止め剤は出来ればスキー用とあるものが良いですが、もしない場合はしっかりと空布巾で拭っておくか、スプレーワックスを塗っておくのも効果があります。車用などの錆び止め剤はものによっては滑走面や接着を溶かしてしまうものがあるので注意しましょう。スキー用であってもあまり滑走面には良くないものなので、塗布する場合はエッジ以外の部分は塗らないようしましょう。

 

以上、補足説明でした。サビ落としは出来て損のないメンテナンスなので、ぜひできるようにしていただくと大事な板がより長く快適に楽しめると思います。

【スキーボードメンテナンス】スキーボードのエッジのサビの落とし方(動画)

エッジのサビの落とし方です。

このような方法で簡単に落とすことが出来ます。難しい作業ではないので是非参考にしてみて下さい。

尚、サビ落としの細かな補足は次回に行います。

スキー板のエッジとサビについて

メンテを行う上で一番目についてわかりやすい不具合が「サビ」ですね。

スキー板は曲がるために板の周囲に「エッジ」と呼ばれる金属が外周に取り付けられています。これがあるから止まれるし曲がれるのですが、これが非常に錆びやすい!なのでメーカーやモデルによっては錆びに強い「ステンレスエッジ」を採用しているものもありますが、多くは鉄である「スチールエッジ」です。

となると、ステンレスの方が錆びないから良いんじゃいない?って思いませんか?

確かにステンレスであればメンテナンスフリーな板が作れそうです。ですが広く普及していないのには理由があります。ステンレスは鉄よりもコストが高く、メリットが小さいのです。

ステンレスと言えば一般では錆びない高性能な合金の代表みたいなものですが、非常に錆びにくいだけでスキーのエッジに使うには優先的に採用されるほどのメリットがないのです。ステンレスは鉄に比べて硬い金属なので加工しにくく、硬さ故に衝撃で割れるというデメリットを持ちます。鉄は錆びますが加工が容易で安価、衝撃で割れる事も少なくステンレスよりもやや元に戻ろうとする力も強いです。スキーのような衝撃を常に受けるシチュエーションで使うにはちょっとステンレスでは都合が悪そうです。

さらにスキーのエッジは削ってチューンナップします。これも削りにくいステンレスでは非常に作業性が悪く、細かなチューニングも困難になります。スキーの板は上級の方ともなると0~2°の角度で角度をつけたりしますが、ステンレスではこの作業が非常に大変です。

加えてスキーのエッジは滑るとステンレスであろうが鉄であろうがすり減って角が丸まってきます。丸くなったエッジは研がないと曲がれなかったり止まれなかったりしますが、加工が難しいステンレスでは削れにくくこそあれ、一度削れてしまえば再び研いで元に戻すのが大変です。もし包丁を研いだことがある人ならばわかると思いますが、鉄の包丁は研ぎやすく切れ味も鋭く、ステンレスは研ぎにくく切れ味も優れません。(プロの料理人などが包丁にわざわざ鉄製の包丁を使うのもこのような理由です)

このように、ステンレスはスキーのエッジに採用するにはデメリットがあって使いにくいのです。鉄のデメリットは「錆びる」と言うことだけと言ってよく、それならと多く採用されています。

ちなみにGR ski lifeの板はスチールエッジを採用しております。メンテナンスが必要ですが、細かくチューンのできる鉄の方が良いだろうと検討しての採用です。

では、錆びさせないためにはどうしたら良いか。これは水分をできるだけ触れさせないという事につきます。滑った後はタオルなどでしっかりと拭き取って乾かす、これにつきます。最近ではシーズンに入るとスポーツ用品店で塗りやすく加工されているさび止め剤もあります。こういったものを塗っておくのも良い方法だと思います。

それでもサビは出ます。ですが初期のサビは簡単な作業で落とすことが出来るのでそんなに怖いものではありません。怖いのは「錆びたまま」にしておくこと、サビはサビを呼び、もらい錆びと言うサビに触れたエッジをさらに錆びさせます。最悪構造にまでサビが入ると修復は出来ないので、普段は濡れたまま保管をしないようにして、たまにエッジをチェックしてサビがあったら落とす。これだけで十分何年も良い状態を保つことが出来ます。

では、次回はその「サビの落とし方」をお伝えしようと思います。

スキー道具の保管について

スキー道具の保管はメンテナンスとしては最も初歩的なものです。一度ポイントだけ把握してしまえばそう難しいものでも面倒なものでもありませんが、知られていないことも多いのが実情です。

スキー道具はその多くが金属とプラスティックでできています。なので最低限知っておきたいポイントは

・水分は出来るだけ残さない

・直射日光を当てない

こ の2点です。特にプラスティックは水分により劣化し、直射日光によってその劣化が加速します。ですので長期的に保管をする場合は湿度や水分を避けた暗い場 所で保管するのが一番望ましい保管方法です。また、水分は鉄を錆びさせます。特に「エッジ」と呼ばれるスキー板の外周に巻かれている金属のパーツは非常に 錆びやすく、条件が悪ければたった一晩で錆が浮いてきますし、錆びたまま保管すると簡単に錆びが進行してしまいます。

なので水分は出来るだけ避けたい!と思うのですが、ここでNGが一つあります。

・過度な熱を与えない

これも劣化させる大きな要因で、手っ取り早くスキーブーツを乾かすためにヒーターの前などにブーツを置く方も多いでしょう。しかし、触れて熱いほどの熱を与えるとプラスティックは簡単に劣化、変形してしまいます。

ですのでできるだけゲレンデで滑った後に雪をかき落とし、帰宅後にしっかり水分を拭き取って直射日光の当たらない場所で保管するのが確実な方法です。

泥やゴミがついてしまっている場合には、シャワーなどで一度洗い流してあげるのが良い方法です。泥なども劣化させる大きな要因です。

もし長期的に保管する場合はこれらの点に注意して保管すれば、大事な道具をより長持ちさせられると思います。そしてもし手がかけられるのであれば長期保管する前に滑走面にワックスを塗ったままにしておき、エッジに錆び止材を塗布しておくとより良いと思います。